「コールド デシジョン(1/2)」
オルトロスの犬の2回目を見ました。
うーんすごいです・・・・。
軽く触っただけで瀕死の子供を助けてしまうなんて・・・
そんな簡単に治せる神の手なら私も欲しいかも・・・
なんて思ってしまいます。
ところでいささか不謹慎な質問ですが「神の手」と「タッキーのルックス」。
どちらかを手に入れられるとしたらどちらがいいですか?
私は当然「タッキーのルックス」ですね。
医者にはあるまじき答え?
・・・・すみません・・・・
でも「神の手」を持ってしまったらその人はもう医者ではなく「神」になるわけですから・・・
私はまだ人間でいたいと思います。
さて、神の手、悪魔の手のシリーズ第3弾!!(勝手なネーミングです)・・・・
ちょっと現実にもありそうなこんなお話はいかがでしょうか・・・・
あなたは登場人物に共感できますか?
―――――――――
「コールド デシジョン(1/2)」
人はいつも正しいと信じたことに従って行動できるわけではない。
だから苦悩する・・・
悪魔のささやき・・・それに従うことは悪?
――――――――
「なんてことだ・・・」
藤崎は狼狽していた。
15年間捜し求めていた殺人犯。
時効寸前になって、ようやく突き止めた容疑者。
「よりによって、あいつが・・・」
藤崎の一人娘の真理子は重症の心臓病であと半年の命と宣告されていた。
「たった17年でこいつの人生を終わらせてなるものか!」
日本中を駆け回ってようやく見つけた超一流の心臓外科医、桐山亮。
1週間後に真理子はその桐山の執刀で手術を受けることになっている。
しかし藤崎が突き止めた容疑者の名は・・・「桐山亮」
15年前、夜中の埠頭で一人の若い男が海に落とされて殺された。
ほとんど証拠もなく目撃者もいない事件であったが、時効の10日前になって、藤崎の執念はついに容疑者を特定した。
そしてそのことはまだ誰も知らない。
今、桐山を逮捕すれば15年の努力が実を結ぶ。
しかし・・その代わり真理子は手術を受けることはできなくなる。
今の日本では桐山以外に真理子を救える医者はいないだろう。
かといって桐山を今、見逃してしまえば、時効により逮捕は不可能となってしまう。
「手術から時効まで3日間か・・・」
藤崎はつぶやいた。
手術が終わったあとに桐山を逮捕すれば・・・
真理子は助かり、桐山にも罪を償わせることができるのだ。
しかし・・・
「娘の命を救ってくれる恩人を俺は刑務所に送ろうとしているのか・・・」
藤崎がほんの10日間黙っていれば、桐山は時効を迎えて再び罪を問われることはなくなる。
「そんなことができるか!」
正義感が人一倍強い藤崎には、自分が殺人犯と突き止めた人間が罪を問われず、のうのうと暮らすことは到底許せない。
「俺はどうすればいいんだ・・」
自分の正義感は桐山をすぐにでも逮捕することを要求している。
しかしその本心は、真理子を助けたい、ただそれだけだ。
「やっと真理子に光が見えてきたんだ・・・。手術前に・・・逮捕など・・・できるものか・・。全ては真理子の手術が終わってからだ」
藤崎が考える最善のストーリーは、真理子の手術後に誰か他の刑事が桐山のことを知り、時効前に逮捕してくれることだった。
藤崎が桐山から思いもよらぬ提案をされたのは真理子の手術を2日後に控えた夕方だった。
「手術を延期ですって?」
「申し訳ありません。実は真理子さんとおなじ病気の人の状態が急に悪化しまして、緊急の手術が必要なのです。真理子さんの容態はまだ安定しています。手術を1週間延期してもらえないでしょうか?」
藤崎は考え込んだ。
確かに真理子の手術を1週間延期しても問題はないのだろう。
しかし桐山の時効は・・・。
「あなた・・・仕方ないじゃないの。その方の命に係わることだから・・。真理子は1週間くらい大丈夫よ」
妻の言葉に藤崎も同意せざるをえない。
「今日しかないのだ・・」
時効のその日、真理子の部屋に回診にきた桐山を見つめながら藤崎は苦悩していた。
今日を逃せば桐山はこれから一生罪に問われることはなくなり、のうのうと暮らすことになる。
しかし今、桐山を逮捕すれば真理子は多分半年後にはこの世にいない。
藤崎の心の中では正義感と真理子への思いが激しく戦っていた。
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