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2014年9月20日 (土)

「虹の彼方のオズ」第5章(2/2)

【岡田の回顧】

 岡田に促されて雅人は備え付けられたソファーに座った。そこからは前面のガラスを通して中庭が全貌できる。中庭は激しい横殴りの雨でまるで霧がかかったように見えた。

「愛子先生は・・・生涯独身だったのですか?」

「ええ。浮いたお話も何もなかったようです。私は高齢になられてからの愛子先生しか存じ上げませんが、若いころのお写真を拝見するとあれほどの美貌で、たぐいまれな才能を備えた方ですので言い寄る男性があってもおかしくないと思いますが・・・お付き合いされた方もなかったようです」

「そうですか・・・」

「ただ、一つだけ・・・」

「え?」

「愛子先生はいつもブルーのサファイアの入ったネックレスを大切そうにつけておられました」

「サファイアのネックレス!」

「はい。多分、昔想いを寄せておられた男性に贈られたものではないかと思うのですが・・・」

「そうですか・・・」

 雅人は感慨深げにうなずくと頭を垂れた。しばらくの静寂の後、雅人が顔を上げて聞いた。

「愛子先生の経済状態はどうだったのでしょうか?」

「それは菅原さん・・・愛子先生はいくつも特許を取っていましたし、全世界からの講演依頼もあり、たいそうな富を築かれていたと思いますが・・・」

 岡田はちょっと口ごもって答えた。

「では、裕福な生活を?」

「それが・・・経済的なことに関してはちょっと・・・」

「何か問題があるのですか?」

 岡田は躊躇しながら、そしてゆっくりと話し始めた。

「私は愛子先生を大変尊敬しています。あれほど周りのことを思いやり、聡明で、上品な女性を知りません。しかし・・・」

「しかし?」

「お金に関しては・・・愛子先生の態度は私の期待とちょっと違うのです」

「といいますと?」

「愛子先生はお金に関してはあまり世間からの評価が得られるような対応ではなかったといいますか・・・」

「具体的にはどういうことでしょうか?」

 雅人は怪訝そうな顔で聞いた。そして岡田は意を決したように答えた。

「はい・・・あれほどの富を得られた方はふつう寄付の依頼などがあればいくらかの対応をされ、社会的地位を確立されるのですが、愛子先生は決して寄付をなさいませんでした。そして講演料なども決して妥協することはありませんでした」

「というとお金に対してはかなり貪欲だったと・・」

「はい。でも不思議なのは稼いだお金を使うことがほとんどなかったのです」

「使わない?」

「愛子先生のお宅はごく普通のこじんまりとした2階建ての住居でした。食事なども贅沢なものは一切取らず、野菜や安物の肉や魚が日常でした。家の中にも贅沢品は何もなく、ブランド品なども一つもお持ちではありませんでした」

「すると稼いだお金をほとんど使わず貯蓄していたと・・・」

「はい。しかし我々従業員に対しては十分すぎるくらいの手当てを出されるのです。私には愛子先生の金銭感覚がいまだによくわかりません」

 雅人は無言でうなずいた。愛子はなぜお金に固執したのか・・・。配偶者も子供のおらずだれに託すわけでもないのになぜ金が必要だったのだろうか?それはこの時点の雅人にとっては、まだ理解できないことなのであった。

 雅人はふと目の前の芝生が植えられた広い中庭に目をやった。雨は少し小降りになってきているようだ。

「岡田さん。この中庭はかなり広いスペースになっていますが、これも愛子先生の設計ですか?」

「はい。実は菅原さん、この中庭には数日前まで小型ロケットが展示されていたのです」

「小型ロケット!」

 雅人はびっくりして岡田の顔を見つめた。

「はい。ロケットといっても外見はまるで戦闘機のようでした。真っ赤なボディーで・・・。でもちゃんと宇宙に飛び出せる構造だったのですよ」

「そ・・・そのロケットはどこに・・・」

「それがですね・・・非常に不思議なことなのですが・・・。3日前に忽然となくなったのです」

「なくなった!」

「はい。最初に気が付いたのは私なのですが・・・。朝ここに来たら消えていたのです。ええ、まるで手品を見るように跡形もなく消えていたのです。私はもうびっくりしてしまって・・・。セキュリティシステムはしっかりしていますので夜中にここに入ることなど誰にもできませんし・・・。夜中にロケットが飛び立つのを見たという人もいるのですが・・・私にはどうにも信じられないことで、はい」

 岡田は額の汗をぬぐいながら言った。

「それが飛び立ったのは3月10日で・・・」

「ええ、3月10日の夜中のうちにどこかへ飛んでいったようです。先ほど申し上げたある事件とはこのことなのです」

―ドロシー・・・君はこんなところから・・・

 雅人はガラス越しに空を見上げた。雨はだいぶ小降りになり、どんよりとした雲の向こうには明るい日差しが見え隠れしていた。

「ドロ・・・いや、そのロケットはどうしてここに・・・?」

「実はそのロケットを設計したのは愛子先生なのです」

「なんですって!愛子ちゃ・・・いや・・・愛子先生がロケットの設計を!」

2025年頃でしたからもう愛子先生も90歳をすぎておられましたでしょうか?突然小型ロケットを設計するといわれまして・・・」

「90歳を過ぎてから・・・」

「はい。私はもうびっくりしてしまって・・・。ジェット機にしたって1機作るのに何十億という資金が必要なのにましてや宇宙に向かうロケットを作るなんで正気の沙汰じゃないと思ったのです。とても民間でできることではありません。それを愛子先生は自分で設計して自分で費用を負担して作らせるとおっしゃるものですから・・・。正直、金持ちの道楽と思ってしましました。こう言っては何ですがあれほどお金に執着していた愛子先生の考えとは思えなかったのです」

「そうでしょうね・・・・それにしてもなんて無謀な・・・」

「しかし愛子先生は真剣そのものでした。道楽どころか、その日から本気でロケットの制作に取り込み、毎日毎日パソコンに向かっておられました。もう体はかなり弱っておられましたが、かくしゃくとしおられ、頭は聡明なままでした。そして1年後、ついに設計図が完成したのです」

 岡田は太陽の光が照らし始めた中庭を見つめながら懐かしそうな表情で話を続けた。

「あの時は・・・技術者やメーカーの人間が来る日も来る日も何人も訪れてきました。しかしロケットの制作はあまりスムースには進まなかったのです」

「といいますと?」

「愛子先生と技術者の間に意見の食い違いがあったようです。愛子先生はどうしても原子力ロケットエンジンの搭載にこだわられたようです」

「原子力ロケットエンジン!」

「はい。近年はようやく原子力エンジンも小型化され、搭載されたロケットもちらほらと出てきましたが、当時はまだようやく実用化が始まったばかりで、とても小型ロケットに搭載できるだけのサイズダウンは無理だったのです。技術者は化学ロケットエンジンしか搭載できないと繰り返し説得したのですが愛子先生はがんとして納得されず『原子力エンジンが使えないのだったら今まで待った意味がない!』とまくしたてられました。私にはどうして愛子先生がそこまで原子力エンジンにこだわるのか全く分かりませんでした。いや、そもそもロケット製作の意図そのものが理解できなかったのですが・・・」

「そうですか・・・・」

 雅人は力なく顔を下に向けた。

「それからの愛子先生の落ち込み方は、はたで見ていてもかわいそうなくらいでした。『私は何のために今まで生きてきたの?』と言って泣き崩れておられました。食事も減り、外出する機会も減り、我々お世話をする人間も困惑していました。しかしそれから2-3か月が経過した頃、愛子先生はまた研究を始めるようになられたのです」

「今度は何の研究を?」

「私にはよくわからないのですが、電磁力でプラズマを制御する研究と言っておられました」

「電磁力でプラズマを!」

「はい。そのために家の隣に専用の実験棟まで作られ、高額な超電導システムやMRIの機器を導入して専門の技師も雇用されました」

「・・・あの技術は彼女が自分で・・・なんて無茶なことを・・・」

 雅人は小声でそうつぶやくと思わず上を向いた。彼はやっとのことで涙をこらえていたのである。

「私には新しい研究がどのようなものかは理解できませんでしたが愛子先生が元気を取り戻してくれたことは私たちにとっても喜びでした。そして約1年後、その研究は終了し、何と愛子先生はまた小型ロケットの設計に取り掛かったのです」

「・・・」

 雅人は瞳を潤ませながら無言でうなずいていた。

「今度は愛子先生も化学ロケットエンジンの搭載に納得されたらしく、話はスムースに進みました。そしてそれから2年後、ついに愛子先生念願の小型ロケットが完成したのです。愛子先生はもう96歳になっておられ足腰はだいぶ弱くなり、その日は私が車椅子を押してここにお連れしたことを覚えています」

「その小型ロケットがここに搬送されたのですか?」

「そうです。あの時の愛子先生の嬉しそうなお顔はいまだに忘れられません。それはロケットというより外見は戦闘機のようでした。もちろん武器は装備されていませんでしたがね。今では同様の型の宇宙探査用航空機もちらほら開発されているようですが当時としては画期的で、愛子先生の未来を覗く眼は確かなものだったのでしょう。ほんの少しえんじ色のかかった鮮やかな赤い色の輝く機体でした。愛子先生はそのロケットを見て満足げに微笑みながら『素敵よ。ドロシー』と言っておられました」

「ドロシーと・・・」

「ええ。ドロシーというのは愛子先生の昔からの親しいお友達の名前です。たぶんアメリカにいるときに知り合ったのだと思いますが私はお会いしたことはありません。不思議なことに愛子先生の周りにいる誰もドロシーに会ったことも声を聞いたこともないのです。愛子先生はいつもドロシーとはメールで会話していたようです。多分その時にはすでにお亡くなりになっていて、その名前をロケットにつけたのだと思います。赤が彼女の好みのカラーだったと聞いています」

「そうなのでしょうね。きっと・・・昔から赤い色が・・・好きだったのだと・・・」

 雅人は右手で胸ポケットに触れるとほんの少し苦笑して答えた。

「しかし愛子先生のお仕事はそれだけでは終わらなかったのです」

「というと?」

「それから愛子先生は毎日のようにドロシーのコックピットに座って作業をされていました。ええ、私がここまで車いすを押してお送りし、作業が終わるとまたご自宅にお連れしていました。菅原さんは戦闘機のような機体というと上からコックピットに搭乗するものと思われるでしょうが、ドロシーはリモコンで座席が下に降りてくるのです。ですから足腰の弱った愛子先生も容易にコックピットに搭乗できたのですよ」

 雅人は得意げに話す岡田の顔を見ながら、わざと「なるほど」というように笑顔でうなずいた。

「作業は数か月続きました。狭いコックピットには愛子先生一人しか入れませんから私には何をされているのかよくわからなかったのですが、ノートパソコンを持って行って何か細かい設定をされていたようです。しかし・・・愛子先生の身体は日々少しずつ弱っていきました。

ある日、私が迎えに行くと愛子先生がドロシーの下で倒れていたのです。私はもうびっくりして愛子先生を抱き起しました。愛子先生は荒い息遣いでとても苦しそうでした。もう97歳になっておられるのです。毎日毎日根を詰めて仕事をすることがもう無理だったのです。

そしてそれからも時々そんな状況に出くわしました。私は愛子先生の身体がもう心配で心配で、『お願いですからしばらく休んでください』と必死で頼みました。しかし愛子先生は『もう少し・・・もう少しでドロシーがつながるの・・・』と言っておられました」

「ドロシーがつながる・・・と」

「はい。そしてついにその日が・・・私にとって忘れることができない日がやってきたのです」

 岡田は大きく深呼吸し、ゆっくりと話し始めた。

「その日の愛子先生はいつにまして体調が悪く、車いすに乗るのもやっとでした。私がとめるのも聞き入れず、コックピットに乗り込んで作業している愛子先生を私は下からじっと見つめていました。もう私は心配で片時もその場を離れることはできなかったのです。

そして2時間後、愛子先生が乗った操縦席が上から降りてきました。私が駆け寄ると愛子先生はばったりとそこに倒れこんでしまいました」

 雅人は岡田のうるんだ瞳をじっと見つめて何回も何回もうなずきながら無言で聞いていた。

「私が抱き上げると愛子先生は荒い息遣いの中でこう言ったのです。『あとは・・・あとはお願いね・・・ドロシー・・・』。そしてドロシーの機体を見上げて涙を流しながら『・・・・ごめんね・・・・』と」

 目を潤ませて話しを続ける岡田を見つめている雅人の瞳からも一筋の涙が零れ落ちた。

「そして愛子先生は私の腕をしっかりと握ってこう言いました。『今までありがとう・・・総司くん・・・。最後に一つだけ・・・お願い・・・。2045年までは・・・ここを壊さないで・・・残してちょうだい・・・あなたに・・・守ってほしいの・・・おねがい・・・おねがいね・・・』」

 雅人の瞳は大粒の涙であふれていた。それは話を続ける岡田も同様であった。

「そして愛子先生は・・・それから私が何度呼んでも二度と目を開けることはなかったのです・・・・」

―愛子ちゃんは・・・。俺を救うために・・・2045年におこるはずのタイムスリップにほんのわずかな希望を持って、一生をかけた・・・。

結婚もせずにストイックな生活を続けて資産を増やし、ドロシーが宇宙へ飛び出して無事に帰ってこられるように原子力エンジンを搭載した小型ロケットを設計し、その制作が無理だとわかると電磁気による再突入減速システムを搭載したロケットを完成させた。

そしてドロシーのMPUチップをロケットに装着して再びドロシーに体を与えた。ドロシーの好みの赤で・・・。

ドロシーは愛子ちゃんの命令通り2045年3月10日に宇宙に飛び出し、発生した磁気嵐に飛び込んで1945年に再びタイムスリップした。そして5年間、地球の周回軌道を回りながら俺を待ち、俺が弾道ミサイルに突っ込む直前に救い出してくれたのだ。

 愛子ちゃんは、強い電磁気と熱によりドロシーは二度と機能しなくなることを知っていた。だから「ごめんね」と・・・。

そしてドロシーも・・・ドロシーもそのことを知っていた。知っていながら俺を助けるために・・・。

 雅人は次から次へとあふれてくる涙を止めることもなく右手で胸ポケットをしっかりと握りしめた。

 

【再会】

しばらくの沈黙の後、雅人は腕で涙を拭きながら岡田に聞いた。

「雨が上がったようですね。中庭に出ることができますか?」

「ええ。こちらから出られます」

 岡田もハンカチを取り出すと目頭を覆いながら雅人を中庭への出口に案内した。

 さわやかな風が流れ、雲の切れ間から覗く透き通った青空の下に丁寧に手入れされた芝生が広がっていた。

「ここにドロシーが・・・」

「ええ・・・そして愛子先生もここに眠っています」

「え?ここにですか?」

「愛子先生の以前からの遺言で遺骨はドロシーの下に埋めてほしいと・・・あのあたりです。芝生の色がほんの少し違っているでしょう? 不思議です。冬になってもそこだけは決して芝が枯れないのです」

 雅人はゆっくりと岡田が指をさしたところに向かって歩いていくと、膝をつき右手を濡れた芝生の上に置いた。

「愛子ちゃん・・・」

そのとき雅人は愛子の声をはっきりと聞いた。

<雅人兄ちゃん・・・>

「愛子ちゃん!」

 雅人ははっとしてあたりを見回した。そしてゆっくりと空を見上げた。すると雅人の目の前に17歳の愛子の顔が浮かび上がった。

<ごめんね。愛子、こんなことしかできなかったの>

「何を言うんだ、愛子ちゃん」

 雅人は首を横に振り、愛子の目を見ながら言った。

「君は核戦争から世界を救った。そして俺もこうやって生きている。すべて君のおかげだ。謝るのは俺のほうだ。君は楽しいことも女の子らしいことも何もできずに・・・地球と俺を救うために君の人生は台無しになってしまったのかもしれない」

<そんなことない。雅人兄ちゃんは・・・『愛する人を守るために自分を犠牲にすることは尊いことだ』って教えてくれた。私もその通りだと思う。私は素晴らしい人生を送ることができた。きっとドロシーもそう思っているわ>

「愛子ちゃん・・・」

<雅人兄ちゃん。新しい地球で・・・生きてね・・・>

「ありがとう・・・愛子ちゃん。君とドロシーの事は一生忘れないよ・・・」

 愛子は雅人の目の前からゆっくりと遠ざかり、青い空に消えていった。雅人は愛子が吸い込まれていった空をじっと見つめていた。

「でも・・・・・愛子ちゃんもドロシーも、俺がもう一度タイムスリップしてこの世界に戻ってくるなんてことは想像していなかっただろうな・・・」

 その瞬間雅人は、はっとして立ち上がった。

「俺は今はっきりとわかった!俺をタイムスリップさせたのはこの地球だ!

核戦争で瀕死の重傷を負った地球が俺とドロシーを100年前にタイムスリップさせ、核兵器を廃絶させる力を持った愛子ちゃんを助けさせた。そして彼女にドロシーを託させた。

愛子ちゃんはドロシーの力を使って核兵器を廃絶させた。傷が癒えた地球は役目を終えた俺をもう一度タイムスリップさせて新しい世界の、もとの時代に戻してくれたんだ・・・」

 空を見上げている雅人のそばに岡田が近づいてきて言った。

「私は・・・ドロシーは愛子先生の魂を乗せて飛んでいったのだと思います。だから愛子先生はドロシーの下で眠りたいと言っていたのでしょう。2045年の3月10日はきっと彼女にとって特別な日だったのでしょう。だから私にそれまでここを守ってほしいと・・・。きっと今頃空の上から私たちや地球を見守ってくれているのではないでしょうか?」

「そうかもしれませんね」

「先ほどお話したサファイアのネックレスも愛子先生と一緒にそこに眠っています」

「そうなのですか・・・」

 芝生を見ながら笑顔でうなずく雅人を見て岡田がほんの少し時間をおいて言った。

「失礼ですが・・・菅原さんは愛子先生の御親戚ですか?」

「え?い・・いや・・・」

「そうですか?写真の愛子先生のお兄さんとよく似ていると思ったものですから・・・」

「あ・・私は・・・あの・・・愛子先生のお兄さんじゃありません。赤の・・他人です」

 雅人はしどろもどろに答えた。岡田はそれを聞いてちょっと怪訝そうな顔をして、そして笑顔で言った。

「そうですか・・・。でも、愛子先生は多分幸せな一生を送られたのではないかと思います。最後のお顔は本当に安らかで少し笑っておられたような・・・」

「私も・・・そう思います」

 雅人は笑顔でうなずいて答え、そして続けた。

「あの・・岡田さん」

「え?」

「今度は岡田さんに私の話をゆっくり聞いていただかなくてはなりません。多分信じていただけないかもしれませんが・・・」

「はい。ゆっくりうかがいたいと思います」

 岡田は笑顔で答えた。

 雅人が空を見上げると大きな虹が青い空に輝いていた。

 

(終わり)

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